「「おいおい……」」と横で広夢くんと航平くんが苦笑いしながら言ってるにも気付かないくらい
あたしはただ湊くんに殴られないように、
この緊張して引き攣った顔をどうにかしようと必死だったんだ。
その後は、昼休みにみんなで音合わせはしたから、時間になるまで個人練習をして。
4時になると、結愛先輩は盛大に紹介するから準備室で待っているように広夢くんに言われて
ぽつんと埃っぽい準備室で窓を開けて待っていた。
緊張でどうにかなりそうな自分をスカートの裾をしわができるくらいぎゅっと掴んで
『あたしならできる』『大丈夫、大丈夫』と何度も呪文のように呟いて。

