「おっ!湊と結愛先輩もやっと来た!」
ドアが開く音を聞いて、迎えてくれた広夢くん。
「湊くん……」
あたしは湊くんの方を見て“やっぱできない”と目で訴える。
「はぁ……。そんな顔しても今日は意地でも出すから。
いつまでも観客やってる場合じゃねぇんだよ。
それに、失敗してもいいっていつも言ってんだろ」
ライブが始まるまでにその顔直せなかったら殴ってやるから
早く準備しろと言いながら湊くんは準備室に入って行ってしまった。
「な、殴ってやる?」
よ、容赦なさすぎる……。
「湊、あれは本気ですから、早くその逃げ出したい気持ちをどうにかする方が懸命だと思いますよ」
とわざわざあたしのそばに来てボソッと言ったのは祐くん。

