朝から元気に声を掛けてきた樹。



彼とお母さんだけはあたしがバンドに入っていることを知っている。



お母さんはまた違う形で音楽始めたことに嬉しそうだったけどね。



「そうだよ!だから嫌なんじゃん……」



あたしもせめてかっこよくなくても男の子だったら良かったのに。



時間が止まってしまえばいいのに。



今日、これから大雪が降って学校が休校になってしまえばいいのに。



なんて、無理な願望ばっかり頭に浮かんでくる。



「何でだよ?帰ってきてからもずっと封印したピアノで練習してたじゃん。



俺も結愛と同じ高校だったら見に行けたのになぁ……」



と樹は暢気に呟いている。



あー、本当に放課後が心の底から来てほしくない。