ブルーウィンズ~ラブソング嫌いなボーカリスト~




その言葉を聞いて気付いた。



キーボードが壊れてるんじゃない。



あたしが個人練習の時にボリュームを下げててそのまま弾いてたことをすっかり忘れていた。



「あ……」



「あ、じゃねぇよ。みんなが弾いてる中、蚊が鳴くようなキーボードが遅れて聴こえてきて



その後、『ド』の音を連打し出して



いったいお前は何がしたいわけ?」



「おい湊、そう怒るなって」



湊くんを宥めようとしている広夢くん。



だけど全然彼にはその言葉が届いていない。



しかも航平くんと祐くんはこの状況の中、声を出さないようにしながら笑ってるし。



2人も見てないで助けてよ!!!



いきなり大ピンチだ。