それでも自分の音は出てるんだか、出てないんだかさっぱり分からない。
でもまぁ、これで良かった良かったと内心ホッとしていた。
みんなにはこの曲が終わってから言えばいいやと自分の中で決めて
そして、曲はサビに入ろうとしていた瞬間……。
「ストップ!ストップ!
おい!結愛!」
とマイク越しで耳がキーンとするような大きな声で湊くんが言ってきた。
耳が痛い!!
お願いだからマイクで怒らないで!
あたしは鍵盤に載せていた手を離して、耳に当てた。
くるっと振り向いた湊くんは今度はあたしを見て
「俺さっきお前に何て言った?」
と低い声でそう言った。

