ブルーウィンズ~ラブソング嫌いなボーカリスト~




周りを見てみると、湊くんはギターをスタンドに立てて、



ペットボトルの水を飲んだりしながら、発声練習をしている。



いきなり声を出したら喉を悪くするだろうし、



練習しておかないと出ない音もきっとあるからかな?と思いながら彼を見つめる。



結局、この30分間はほぼみんなを見ていただけで広夢くんから終わりの指示が出てしまった。



「じゃあ、さっきやったけど、いつも通り未来にむかってとWindをやってから新曲に入ろう。



これは結愛先輩も弾けますよね?」



「……うん!」



練習なのにすっごく全身が緊張してる。



2週間前『デタラメだ』って湊くんに言われちゃってるけど、一応形にはなってる。



これからみんなの音とあたしのキーボードを合わせるんだ。



わくわくする気持ちとちゃんとみんなの音に合わせられるか心配な気持ちが自分の中で交錯する。