「とりあえず個人練習30分。新曲中心に練習して。
結愛先輩はまずキーボードを弾いて慣れて下さい。
この間見てもらった新曲のラブソングなんですけど、
俺たちまだ歌の練習してないのでメロディーを弾けるようにしてもらえますか?」
「分かった!」
広夢くんの指示がかかった瞬間、祐くんのドラムの音、
湊くんのギターの音、航平くんのベースの音が流れ出した。
彼らは一切喋らずに自分の楽器とバンドスコアを見つめて音を紡ぎ出している。
気になったところはシャーペンで書き込んで、また弾いての試行錯誤の繰り返し。
音楽室に音はいっぱい行き交うけど、言葉一つない。みんな集中しているんだ。

