「はい!これが結愛先輩が使うキーボードです!
随分準備室で眠ってたみたいだけど電源入るし、音も出るからこれで頑張って下さい」
「うん!ありがとう」
広夢くんと航平くんがキーボードを準備室から運んできてくれた。
試しに鍵盤を押してみると、当たり前だけどピアノよりも軽い力で大きな音が出る。
「わわっ!こんなに音出なくていいのに!」
あたしは自主練習をしていた湊くんと祐くんに視線を向けられて思わずビビってしまった。
落ち着け、あたし。
今は一人で頑張ってきたあの頃とは違う、みんなとやるんだ。
あたしなら、きっとできる。
さっきよりも音量を下げて、頭の中で新曲を思い出す。
片手で思い出しながらメロディを弾いてみるけど、耳にイマイチ入ってないから曖昧だ。
これじゃあ、わたしはみんなとの音合わせするのにかなり時間がかかりそう。

