第二音楽室の前に着くと、ドアはすでに閉まっていて
中は今か今かと待っている生徒たちで溢れかえっていった。
湊くんは繋いでいた手を放すとこう言った。
「俺は今から前に行くけど、あんたは俺の見えるところに必ずいろ。
それで終わった後も逃げないでこの場に残れ。いいな?」
いいな?と確認しているくせにあたしの返事を聞かずにドアを開けて先に入っていった。
湊くんが入った瞬間、音楽室は黄色い声のキャー!という声でいっぱいになった。
ここまで来たのに、もう逃げたりしないよ。
だってこれから湊くんが“大事なのはここにいる『今』”だってこと教えてくれるんでしょ?
あたしは少し落ち着いて、初めのあいさつをする広夢くんの声が聞こえてからゆっくりドアを開けて音楽室に入った。

