あたしはそれから大泣きして逃げるように家に帰って
先生もそれから家に来て謝ってくれたけど、あたしは絶対に部屋から出なかった。
そしてピアノも二度と弾かないことを決めて、翌日にはお父さんとお母さんにもピアノをやめることを伝えた。
ピアノを弾いている理由が分からないこと
もっと自分の好きなことがしたいこと
もう大人の言うことばっかり従っているのが嫌になったこと
普通の中学生になりたいこと
全部、全部泣きながら訴えるように2人に伝えて
お父さんとお母さんは『そこまで言うなら、これからは結愛の好きなようにしなさい』と言ってくれた。
それからあたしの家では“ピアノ”はタブーの言葉になり、買ってもらったピアノは物置化して楽譜もすべて消えたんだ―――。

