「………。」




 今日もその人は隣に女の人を連れていて。


 …やっぱり遠くて顔までハッキリ認識できないんだけど、相変わらずなにかキラキラしたものが見える。僕が疲れているだけなのだろうか。まだ二限目なのに。


 あんなキラキラしてるんだから、きっと物腰が柔らかくて知的で素敵な人なんだろうなぁ。完璧すぎる人間だからこそ、酷い噂が自然と立ってしまうのだろう。


 …それにしても、たまに静かな広い敷地に、「きゃははっ」みたいなその女の人の楽しそうな声が響くのが聞こえて、殺意が芽生える。お前の声はどうでもいいんだよと。



「………。」



 しんどくないのかな、と、ふと思った。