「おぉー!スッゲー!やっぱスッゲーでかいな、桜ヶ丘学園!」

「………。」

「さすが金持ちボンボン学校!スッゲー!なっ? 柚季?」

「……風太、うるさい。」

「…はい、ごめんなさい」



 しかもさっきからスッゲーしか言ってない。我が兄ながら、この語彙力の乏しさにはもはや呆れることしかできない。


 …まあ、そんな風太のバカさ加減を今更指摘することなど無意味なわけで。


 イレギュラーな広さを誇る桜ヶ丘学園の敷地を、ゆっくり歩きながら、私と風太は学生寮へと向かっていた。