壁を背にして、曲がり角から様子を窺う。

四人か、五人か。

かなりの人数の看護師が見張っているのが見えた。

あれが普通の人間なのか、『普通ではない』人間なのかは、この距離からでは判別できない。

何にせよ、数が多過ぎる。

一人を黙らせている間に、他の連中に仲間を呼ばれてしまうだろう。

まともにやり合うのは得策ではない。

何かないか。

ここを突破する上手い手は。

視線を走らせるアレックスの目に。

「!」

消火器が飛び込んできた。

当然の如く、何処の施設にも備え付けられている消火器。

コイツは使える。

アレックスはMARK23を構え、その消火器を撃つ!