「ゴツイ男だと思ってたけど…見かけに違わず強いわね…」

驚いた顔をして、シエラが出てくる。

「ジュードー?」

「コマンドサンボだ」

「何それ?」

「わからないならそれでいい」

廊下に倒れて伸びている二人を他所に、アレックスは進み始める。

見張りが只の人間でよかった。

5階で遭遇したような獣が何匹も徘徊していたら、弾薬が幾らあっても足りない所だ。

人間相手ならば、アレックスなら素手でも対処できる。

しかし…。

「やはり病院ぐるみでの犯罪か」

アレックスは苦々しい表情で呟く。

もしかしたら、あのカラスや獣に病院が襲撃を受けているのではと思っていたのだ。

それならば犯罪ではなく、獣害という事で話は片付いたのだが…。

病や怪我に苦しむ患者を救うべき病院の犯罪、そして隠蔽工作。

アレックスは憤りを隠せない。