痙攣する獣。

「し、死んだの…?」

恐る恐るのシエラの問いかけに、アレックスは頷く。

流石に化け物でも、頭を突き刺されれば絶命は免れないらしい。

ナイフをホルダーに戻したアレックスは、その獣の死骸をハンディカムに収めた。

「ちょっと…そんなもの撮るのやめなさいよ…」

「この病院で起きている事の動かぬ証拠だ。寧ろ撮っておかなきゃならない」

そう言って、アレックスはハンディカムを回し続ける。

「…一体何なのかしら…それ」

顔を顰め、シエラが言う。

「わからない。わからないが…」

アレックスはある程度仮説を立ててみる。

この異常なまでの体の大きさ、奇形とも言える骨格や肉体の変形。

この獣は、猫をベースとした動物実験の成れの果てなのではないか。

投薬や移植を施し、変貌した実験体だとしたら…。