アレックスの、ウルゲイルの、メイソンの、ジョーダンの。

銃弾が次々と肉塊に命中する。

しかし肉塊は動きを止める事なく、ジワジワとにじり寄る。

そもそもが反応のない生命体だ。

動きこそ緩慢だったが、その耐久力はずば抜けて高い。

加えて。

「くそっ」

メイソンがM4カービンのマガジンを交換する。

「悲鳴も上げやしない、効いているかどうかもわからないぜ」

悲鳴、呻き声、苦悶の表情。

それらは戦闘において、攻撃が通用しているかどうかを知る重要な要素だ。

悲鳴を上げ、苦痛に顔を歪めるからこそ、敵に攻撃が通用していると確認できる。

だがアンドレイに言わせれば、そんなものは己の不利を相手に知らせるだけの、不必要な機能だった。