ハンヴィーを走らせ、夜間のバグダッドを進む。

車内のコートニーは無口だ。

ジャーナリストが嫌いと公言しただけの事はある。

必要な会話以外、アレックスとは一切口を利かなかった。

元々無口無表情というのもあるが、それにしたってもう少し愛想を見せてもいいようなものだと、アレックスは考える。

折角の美人が台無しだ。

そんなお世辞を言っても、決めた男がいるから無駄だとも言っていたが…。

「彼氏はタスクフォース内にいるのか?」

無言の車内が息苦しくなり、アレックスはその辺りを会話の糸口にしてみる。

当然、コートニーは答えない。

「戦場で育むロマンスか。悪くないと思うがな」

「……それは、取材なの?」

「特集を組んでいいなら、ページを割くが?」

コートニーほどの美人でセクシーなスナイパーならば、一定数のファンも見込めるだろう。

部数が確保できると、出版社は喜ぶと思うが。

「仕事がやりにくくなるの…営業妨害で貴方を訴えるの…」

コートニーの返答は辛辣だった。