ベースキャンプの施設を出て、コートニーはハンヴィー(高機動多用途装輪車両)の前に立つ。

「運転してほしいの…」

どうやら狙撃は凄腕でも、車の運転は出来ないらしい。

後から聞いた話だが、銃以外はスマホの扱いさえ出来ない機械音痴なのだそうだ。

「で」

アレックスは運転席につく。

「何処へ向かえばいい?」

「軍の医療施設…」

ナビシートでコートニーは言った。

「軍の医療関係者で、身元の怪しい人物がいないか調べるの…」

「成程」

エンジンをかけ、ハンドルを握るアレックス。

軍内部に、そんな身元のあやふやな人間がいるとは思えないが、戦場の混乱した地だ。

もしかしたら、その混乱に乗じている可能性も否定できない。