爆破テロの現場に立ち尽くし、愕然とするアレックス。

嘗て戦場カメラマンをやっていた彼にとって、こういう現場は初めてではない。

だが、初めてではないからとて、慣れるものでもない。

焼け焦げた臭い、血痕、瓦礫と残骸、行き交う兵士と犠牲者の遺族。

事故や事件とはまた違った空気が、現場を支配する。

と。

「アンタ、何とか現場に来れたんだな」

先程声をかけてくれたアメリカ兵のグライムズ特技下士官が歩いてきた。

もう一人のアメリカ兵、ジェフ=サンダース一等軍曹も一緒だ。

「ああ…」

カメラを手に、浮かない顔をして答えるアレックス。

「何だアンタ、戦場の取材は初めてか?」

「いや…そういう訳じゃないんだが…」

グライムズの言葉に、アレックスは首を横に振る。