Hospital waste

目に突き刺さるほどの眩しい日差しの下、アレックスは走る。

もう一本先の十字路を目指して、全速力で。

次の十字路に出ると、そこは封鎖されていなかった。

早く現場へ入らなければならない。

到着が遅れるほど、現場の片付けもそれだけ進む。

最終区間は1.5キロ。

やけくそになって走る。

一帯はフセイン政権時代の官庁街だ。

バンカーバスターで空爆されて剥き出しの鉄骨だけになったビル群と、瓦礫だらけの焼け野原の間を、ただひたすら駆ける。

ガチャガチャと耳障りな金属音を立てるカメラバッグ、その重さが恨めしい。

必要なボディとレンズだけを抜いて、その場に投げ捨てたい衝動に駆られる。

最後の1.5キロをヘロヘロになりながら駆けて、ようやく駐留軍本部前の大通りに立つ事が出来た。

ジュムリヤ橋の袂とは、爆心地を挟んで正反対の位置だ。

ビスケットのせいで4キロ以上も遠回りさせられた訳だ。

が、文句も泣き言も一切思い浮かばなかった。

眼前に広がる惨状に呑まれていたからだ。