Hospital waste

グライムズがアレックスの顔とIDを交互に見る。

と、次の瞬間、睨みの利いた顔をパッと笑顔に変えて言った。

「だったら休んでる暇なんかないぞ!次の角なら曲がれる筈だ!」

「本当かっ?」

「でも急げよ、すぐに行かないと、そこもじきに封鎖されるぞ!」

そして付け加えた。

「ほら頑張れジャーナリスト!このニュースを母国の連中に伝えてくれよ!」

こう言われたら、このグライムズという兵士の前でダラダラ歩く訳にも行くまい。

カメラとバッグを抱え直して、アレックスはまた駆け出した。

「ほら、急げよ!」

兵士とは思えない、駄目押しの声が背中に飛んできた。

アレックスは前を向いたまま、手を挙げて応える。

まるで沿道の観客に応援されるマラソン選手だった。