Hospital waste

第2区間は500メートル強。

全力で走ったが汗は流れない。

乾き切ったバグダッドの空気に、掻いたそばから汗がどんどん蒸発する。

空気が乾燥している分、喉もやたらと渇く。

だが飲み物を買っている暇はない。

そんな事をしていたら、ビスケットの二の舞だ。

乾いた喉と鼻に盛大に砂埃を吸い込みながら、全力疾走する事数分。

シナック橋が見えてきた。

橋の袂には装甲車が一台と、M16を下げた白人兵が数名。

遅かったか?

いや、装甲車は停まってはいるが、車線を塞いではいない。

兵士もただ立っているだけで、規制線は引かれていない。

白人兵に駆け寄り、プレスパスを見せながら訊いてみる。

「通れるか?」

アメリカ兵、胸のポケットにはジェフ=サンダースの文字。

階級は一等軍曹らしい。

彼はつまらなそうな表情のまま、『行っていいぞ』というように手を対岸方向に払うジェスチャー。

アレックスは長い橋を走って渡る。