突如として頭に受けた柔らかくも強い衝撃に私は、尻餅をつきそうになった。
それも、結果としてつかなくて済んだ。
後ろに行きそうになる私の腕を力強く掴む手。
細くて、骨ばってる指。血管が浮き出てる白い腕。
「やっと出てきた」
掠れたようなその声。
物理的にも捕らえられ、精神的にも捕らえられる。
「なん、なんで……!」
「何では此方の台詞。何で逃げるの?」
「に、逃げてな……」
ビクビクとしながら俯く。
逃げれないその状態に、私はどうしたらいいのか分からなくなる。
困惑している筈なのに、彼に触れられているその状況が鼓動を早くする。
一体私はどの感情に重きを置いておけばいいのだろう。もう、分からない。
「俺、何かした?」
「っ~~!」

