気になる彼への恋心



――


ぐずぐずとすすり泣きをし、時折まだ風邪の余韻で咳が出る。

涙も咳も止まらないから忙しない。

見つかりませんようにと願いながら隠れた階段裏は、どうやら穴場らしい。

最も、誰かが近くを通れば気づかれてしまうのだろうけれど。

幸いにして今は授業中だ。教室からは離れた階段を選んだため、誰も気づきはしないだろう。

初めて授業をサボってしまったのは、マイナスだけれど。


「うーー……」


しかし、これからどうしよう。

明らかに逃げたような状況でどんな顔をして戻ればいいのか。

追及してくるのか、してこないのかはわからないけれど、私自身戻りずらい。

となれば、来週初っぱなから席替えがあると賭けて、今日は早退しようか。病み上がりなため、察してくれるかもしれない。

席さえ替わってしまえば、追及されそうになっても彼が来る前に逃げれる。また近くの席になれば終わりだが。

もう、今はそれしか残っていない気さえした。

何にせよ、これで彼とは完全に切れてしまうが致し方ない。

何より、おこがましい私が嫌だ。恥ずかしい。


「……早退しよう」


ポツリと呟いて、決心してからは早かった。

頭を俯かせながらも階段裏から離脱し、職員室に向かう。

否、向かおうとした。


「ふぐっ!?」