よくよく考えてみれば、たまたま後ろに私がいただけだ。私じゃなければいけないわけではない。
違う子なら違う子に借りる。
当たり前の事だった。
なのに何故ショックを受けているのか。ほら、彼も困惑している。
「何で泣いて……、俺変な事言った?」
「いっ、てない。あれだよ、花粉……花粉で泣いてるの」
「いや、今の季節花粉そんな強くな……」
「かお、顔を、洗ってきます!!!」
ガタガタッと、周りの席にぶつかりながら慌ただしく私は教室から走り出した。
ぼろぼろとこんな風に泣くなんておこがましい。
泣くな。泣くな。泣いてどうなる。現実に目を覚ましただけだ。
「それでも、高瀬くんから特別だと思われたかった……!」
たかだかノート一つでもいいから、特別だと。

