そこには、コーラのペットボトルを小脇に抱え、大口を開けて笑いながら私を見下ろす男。

確かに、スカートからは赤いジャージを纏った脚が伸び、あぐらまでかいている。

が、いったいそれの何が悪い。

これほど楽な格好はないのだ!

男はワックスでツンツンと立たせた髪を呑気に気にしつつ、私の横へ腰を下ろす。

「康太、次そんなこと言ったら、その髪丸坊主にしてあげる!」

私はそいつの鳩尾に肘を打ちこみ、詩織にはにっこりと笑いかけた。

「ありがとう、詩織」

ご満悦でいちごミルクを受け取る私と、呻く康太を遠慮がちに笑う詩織。

いつもの光景に、安堵の吐息が漏れる。

しばらくの間、ひとり足りていないけれど。