夢中で縁に身を乗り出し、見えない風を追う私。
見間違えるはずがない。聞き間違えるはずがない。
私は、屋上の縁に震える手でしがみつき、目尻に涙をためた。
やっぱり、私の中の幻ではなかった。
あの笑顔も、耳を掠めた笑い声も、樹のもの。
風の行きついた先の空。
空を颯爽と駆けていく、一筋の銀色の流星。
まるで、樹が笑っているみたい。
私は慌てて涙をはらい、流れ星に向かい大きく手を振る。
大切な想いをくれた樹へ、ありったけの笑みを返して。
夜空はもう不安で曇ってなどいない。
やっと前を向いた私へ、星は底抜けに煌めいていた。
*fin*


