手紙は時を駆け抜けて



私は一折りに想いをこめる。

この紙の中にいる、昔の私の分も全部一緒にこめて。

そうして、私の手のひらの上には、ひとつの紙飛行機が出来上がっていた。

私の、ラブレターの紙飛行機……。

その刹那、私は息を殺し、目をみはった。

耳元で唸りをあげる風。

階下から吹きあがってくる生徒たちの歓声。

赤々とうねる炎。

目の前を瞬く間に飛び去っていく眩い火花。

風の大群が、私の体さえ強く押して、夜空へ吹きあがる。

樹がいるだろうこの夜空に。

心が私を風よりはやく突き動かす。

想いが駆けだす。

この世にたったひとつだけの紙飛行機を、渾身の力で空に放つ。

全身からありったけの声を絞り出す。

「樹、すっごくすっごく大好きだよ!」