樹が事故で亡くなったという最悪なことを、たった数秒の電話で。

私はベッドの上で、身を小さく丸めた。

胸が張り裂けそうに痛くて歯を食いしばる。

今でもずっとずっと思っている。

なぜ、一生懸命に未来を見て生きていた、あの樹の命が奪われなくてはいけなかったのか。

私は生きているのに、過去にとらわれ、臆病で、逃げ続けてしまうのか……。

震える瞼を押し上げたら涙がこぼれて、シーツにしみ込んだ。

そうなのだ、いくら私が思っても、樹は帰ってこない。

時は止まらないし、まき戻らない。

握った手紙のはるか上に視線を移せば、窓から、墨で塗りつぶしたみたいな夜空が見えた。

私のにじんだ視界には、星すら見えなかった。