手紙は時を駆け抜けて



樹の華々しい部分にだけ目を向ける人は多かったけれど、本当は陰であんなノートをまとめているところの方がかっこいいこと。

才能よりも、何倍か知れない努力を積み重ねて逃げずにきたこと。

それこそが、樹のかっこよさなのだ。

けれどふと、樹の見開かれたあの黒い瞳にじっと見つめられた。

「なあ、明日香もそう思うだろ? キャプテンってやっぱ重いんだぜ」

胸の奥で、押し込んだ感情が暴れて、目を見開いた。

でもすぐに私は、女子らしくもなく大口を開けて笑ってしまった。

「あっははは、なに言ってんの。片桐樹らしくもない。私たちのヒーローに弱気なんて似合わないよ」