*・*・*・*・*

日常なんて、同じことの繰り返しだ。

朝一番にカーテンを開けはなった窓の向こうは、いまだ眠たげな曇天模様。

でも壁掛け時計はカチリとまたひとつ、音を響かせる。

私は機械的にブレザーへ腕を通す。

そして、床に置いてあるカバンを拾い上げ、教科書を鷲掴んでつっこんだ。

その時、くしゃり、何かの紙が鳴いた。

私は薄暗いカバンの中を覗きこむなり、下唇を噛む。

薄っぺらな内ポケットからはみ出している角の傷んだ紙。

鉛筆書きのあどけない文字が刻まれたピンク色の封筒……。

思わず勢いあまって引いたファスナーが、短い悲鳴をあげた。

けれど、私は聞かなかったフリを決め込んで、今日も同じ一日を始めるのだ。