マシェリ

~2月7日~


「みんなに話がある」

その瞬間、自主練していたみんなが一斉に手を止めた。


そう、みんな、これから磯貝先生がどんな話をするのか気になっている。


いや、誰もが咲の話だろうって感づいてる。


あの試合の日以来、咲は全く部活に来なくなった。


学校も朝からは来なくて、遅刻して来ては授業を受けて帰ってしまう。


だから、逢うこともない。


あたしとの連絡も【おはよう】や【おやすみ】のメールのやり取りだけ……


あの試合で何かが変わってしまった。


部活も、咲との関係も……


だけど、あたしは何一つ、咲に問いただすことができない。


隠し事なんて何もなかったあたし達なのに、一歩踏み込めない大きな壁ができてしまって、その先へと進めない。


「工藤が部活を止めた」


その瞬間、みんな一斉に下を向いた、ただただ何一つ言葉を発することもなく、そして中には涙する者もいた。



「どうして……!!どうしてっ!!!」


そのシーンとした空気を乱したのは、あたしの叫び声。


「これからは工藤のいないバスケ部となってしまうが、工藤のいた頃のように、また頑張って欲しいと思う。以上。今日は練習メニューをまひろ!考えておいてくれ」



それだけを言うと、磯貝先生は職員室へと戻っていった。


その背中もどことなく寂しそうに見えた。