マシェリ

その後も、咲は度々ミスを繰り返した。


「工藤、不調だね……」
「なんか、体力なくなった?」

あたしにわざと聞こえるように話している訳ではない。


でも、全ての会話があたしの耳に入り込んでくる。


どうしたんだろう……


険しい表情の咲は、途中から笑顔など見せなくなった。


いつだってチームへの気遣いや声かけは人一倍なのに……


ピピーーーー!!!


途中から、試合をみている余裕なんてなくて、あたしには咲一人だけしか視界に入っていない。


いつの間にか試合が終わる合図が聞こえてきて、前にいる相手チームの方から歓声があげった。


「負けた……」


43対72


「ありがとうございました!!!」
「ありがとうございました」


色々な声が重なり合った。


それでもいつもみたいな咲の声はやっぱりあたしには届かない。


一瞬だけ咲を目が合ったが、思わず反らしてしまった自分がいた。


今日みたいな咲を見るのは初めてで、なんて顔をしていいのか、なんて声をかけていいのかすら分からない。


暫くして、磯貝先生と話している咲を見つけた。


どことなく、目が赤いのは気のせいなのか……遠くから何もできない自分がはがゆい。





試合の後、咲とは話すこともなく、遠征だったあたし達は、男子は男子、女子は女子と珍しくバラバラに帰った。


そう、この日を境に咲は部活を来なくなった。