マシェリ

「ん?なんか今言った?」

まひろが時間差であたしに問うと、「あ、いや……咲なんか変だなと思って」そう答えた。


「うん、確かに変だ。いつも以上に機敏な動きしてるし、気合いの入り方が違う、うんうん。」

「そうじゃなくて!!」


その瞬間、相手側のチームがバックシュートを放ったのが見えた。


「やばい!!」


キャーッ!!!!


相手側のチームの歓声が響き渡る。


今のフェイント……


咲なら交わせたはずなのに……。


咲の方を見つめると、険しい顔をして息を切らしている。


「工藤、今のはどうにかなったんじゃ……あの表情、ミスだと感じてるね」


まひろの言葉が遠くの方で聞こえた気がしたが、あたしは違う、そうじゃない。


今のはミスなんかじゃない、咲があんなフェイントを気づけないはずがないんだ……



磯貝先生の方を見てみると、どうやらあたしと同じ考えのようで、いつもみたいに叫んで怒ったりしてない。


やっぱり変だ。


さっきの険しい表情から、一転して、咲得意のドリブルで、どんどん相手を交わしていく


「いけー!!工藤!!」


まひろが叫ぶ横で、咲がシュートを放つ


「あ~あっ……」


みんなが肩を落とすと同時に咲も肩を落としてる……完全におかしい。


リバウンドさえも取らないなんて


あたしは、目を凝らして咲を見つめた。