マシェリ

ーーーーーーーーっ!!!


その瞬間、咲は頭を抱えて座り込んみ、あたしは「あっ……!!!」と思わず声を漏らしていた。


「くそっ!!!」


ボールが跳ね返ってはポンポンを弾み、咲の方へと転がってくる……


咲がゴールを外した。


それも、惜しいとか、そうゆう慰めが言えないくらいに……。


「咲……どうしたの~!!もう~」


無理やり茶化してみたけど、座り込んだままの咲はちっとも立とうともせずに、ゴールをただ見つめてる。


なんて言葉をかけていいのか分からなくて、あたしはただただ咲の背中をみることくらいしかできない。



咲がロングシュートを外すなんてめったにないのに。


しかも勝負がかかっていたり、ここぞという場面には、決まって成功する。


「ははっ!!まだまだってことですね。バスケも俺も……まだナツキと未来の約束なんてするには、はえ~ってことなんだよ」


「咲……」


咲のこんな姿をみるのは初めてだった。それも、寄りによって記念日だと言うのに……


あたしが、ここに来ようなんて言わなければ……


「さてとっ!!そろそろ時間マズイだろ?行くぞ!!」


いきなり立ったかと思えば、軽くズボンについた汚れを落とし、また2人分の荷物を抱えた。


「ナツキ~ほら、走るぞ!!!」


あたしの返事を聞かぬまま走り出した咲の後を、あたしも慌てて着いて行く……



今までこんな咲を見たことなくて、少し拍子抜けしたけれど、置いて行かれないよう距離が空かないように咲へと続いた。