マシェリ

「咲だぁ~いすきっ!!」

「なんだよ、いきなり気持ち悪いな!!」


そう言いながらも照れくさそうに下を向いた。


「ねぇ!!公園でシュート決めて!!」

「えっ?今から?時間は?」

「大丈夫、後30分ある!!走って行って走って帰ってくれば!」


「おお?いいトレーニングになりますな~行くか!!」


ベンチから立ち上がれば、咲はあたしの荷物まで軽々抱えた。


「え?大丈夫?」

「これくらいのハンデないと、ナツキは、もたないだろ!!」

「えーーひど~っ!!でも、ハンデないとだめだね、お願いするっ!!」

「よし、時間ねぇぞ!!」


そう言うと、いきなり走り始めた咲を追うように、あたしもすぐに駆け寄る。



咲の後ろ姿……


重たいバッグを二つも下げて軽々走っていく……


ずっと、このまま咲の傍で笑っていたい……


ずっと咲の後ろ姿をこうして眺めていたい……



そんなことを思いながら、しっかり距離が開かないほうに、咲の走りに一生懸命着いていった。