マシェリ

それから咲は、あたしを視界に入れてくれるようになって、あたしを咲の心の中に少し入れて貰えるようになって



『俺さ、バスケすげー愛してるけど、好きなヤツくらいいるんだぜ?』


そう、練習試合で遠征に行った帰り道、たまたま帰る方向が一緒で、2人きりの時にあたしに言い放った一言。


『ちょっと付き合って』と、バスケットゴールがある公園に無言で二人で向かって、公園に着いたかと思えば

『1本勝負、これで俺が一発でゴール決めたら、俺と付き合えよ』なんて、ぶっきらぼうに答えた咲。



今まで、色々な試合を見てきたけど、あんなにもシュートが入れ!!なんて願ったことなんてなかった。



スパッーーーーー!!!



静かな公園に、ネットにボールが綺麗に入った瞬間の音が、確かにあたしの耳に入れば『よっしゃー!!!決めたぜ!!』


なんて、笑顔の咲がいて、あたしは思わず涙してた。



そんなあたしを見て『今日から俺はお前の彼氏だよ』なんて頭をポンポンとしてくれた。


腰が抜けてしまったかと思うほど、そのまま座り込み、うんうんって頷いたっけ。



中学1年、7月21日



あれから1年ーーーーー



今も咲はあたしの隣にいる……