少し落ち着いてきて、リビングの時計を見たら、もう九時になろうとしていた。



それにしても、美保ちゃん遅いなぁ…。


どうしたんだろう。


電話してみよっかなぁ…。

うーんでもすごく忙しかったら悪いし…。





とりあえず、夕飯作ろっか…。





と、流し台に向き合った、その時だった。





「腹減ったー」





とん、と右肩に重みを感じたかと思うと、

まだ耳に残っているあの低い声が、耳元に響いてきた。



「きゃ…っ」



咄嗟に振り向こうとしたけど、とどまる。



だって、肩の重みはそこに顎を乗せた蒼の重みで、

その腕がぎゅうと私を抱き締めてきたから…!