「なにかあったんですか?
ずいぶん遅いから、蓮が心配してましたけど」


『それがね、実は急用ができてしまって…。
発車の時間が近いから、手短に話すけど…実は仕事で急にねーーー』








神様。



もしいるんだとしたら、これは感謝すべき、なんすか。



報われない片思いに苦しんでいる俺を憐れんで与えてくれたチャンスって考えて、いいんですよね…。








『…向こうについたらもう一回かけるつもりだけど、一応蓮に伝えといてくれるかな?』


「はい」


『急で本当に悪いんだけど…
でも蒼君がいるから大丈夫よね!』


「はい、大丈夫です」


『蒼君もすっかり大人になったから頼もしいわ。
じゃあ、蓮のことよろしくお願いするね』


「おばさんも、無理しないでお仕事してください」


『ありがとう。
じゃ、また二、三時間したらかけるねーーー』





通話を終えた俺は、突然与えられた絶好の機会のありがたさに、高ぶる気持ちを静めた。





蓮。

ほら、おばさんだって『大人になった』って認めてくれた。





だから、おまえにも、認めさせてやるよ。

俺が変わったってこと。





『幼なじみ』は今夜で終わりにしてやるよ。