「おまえに『男』として見てもらいたかったからだよ」
低く強くささやいた声に怯えたのか、
蓮は咄嗟に身を仰け反らせて、俺から離れようとした。
けど、
ぐいっ、とさらに強く引っ張って、電柱に押し付け、
細い顎に指を当てて上を向かせる。
まっすぐ俺を見つめるように。
「…ほら、よく見てみろよ。
おかげで、もうすっかり大きくなったろ」
いい加減、ムカつくんだよ。
俺はいつだっておまえだけを見てきたのに。
おまえはいつまでも昔の俺しか見ていない。
いい加減、認めろよ。
もう昔の俺はいないって。
今の俺だけを、見ろよ。
街頭の下、俺の影に閉じ込められながら、
蓮は俺を凝視していた。
ああまた。
胸がカラカラする。
好き過ぎてたまんないって、胸が悲鳴を上げている。



