「へぇ、そうなんだ。
あんがと。
蓮がそんな風に俺のこと思ってたなんて知らなかったなぁ」
「……」
皮肉めいた口調のまま、俺は薄く笑みを浮かべて続けた。
「じゃあさ、俺も教えよっか。
なんでバスケ始めたか」
「え?
それは流行ってて…友達がみんな始めたから…」
「ちがう。
それは表向き。
本当は、そうやっておまえにへなちょこ扱いされるのが…
世話のかかる『家族』みたいに思われるのが、嫌だったから…」
ぐいっ
と俺は握っていた蓮の手を引いた。
そして、抱き寄せるように、耳元まで唇を近づけた。
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