カラカラ、と。
俺は焼けつくような喉の『渇き』を覚える。
今まで以上に、激しく、苦しく。
「おまえ、さ…」
掠れてしまうのに気付きながら、俺は低く声を絞り出した。
「明姫奈って友達がいるせいで気づいてないのかもしれないけど…、
もうちょっと、自覚した方がいいぞ。
マジで、いい女すぎるから…」
「……え」
「しっかりしてんのに、変なとこで抜けすぎなんだよ。
だから…
『俺が守ってやらねぇと』って、目が離せなくなる…」
「……」
「わかったか?
わかったなら…返事、しろよ…」
「……」
「『気を付ける』って言えよ…」
ぎゅっ、と
少し震えている蓮の指を、強く握る。
けど、
蓮はふい、と視線を外してうつむいたきりでいる。
あーあ。
やっぱ頑固だよな。
でも、呆れちまうのは。
そんなとこも、可愛くて仕方ないって思う俺自身だ…。
これが、惚れた弱みってやつかな…。
ため息まじりに苦笑うと、俺は蓮の手を握って歩き出した。



