「いや、ただたんに羨ましいと思ってさー」 「へぇ」 「でもなんでかな。 それ以上にムカつくっちゅーか、もどかしいっちゅーか。 おまえにこんな気持ちになっても仕方ないのにな」 「はは、どしたんすか、先輩。 引退が寂しくて哀愁ですか」 「ぬかせよ」 来る――― 気迫を感じた次の瞬間には、先輩の姿を見失った。 カット…っ は間に合わず、瞬く間にボールがゴールネットに吸いこまれる。 やっぱ、速ぇ…。