「きゃぁ…!蒼くんナイスフォロー…!」


「あっという間だったねぇ!超カッコいい…!」





その鮮やかさに、人混み中の女の子たちからも思わず黄色い悲鳴が…

って、ちょっと待て待て、たかが焼きそばパンでしょ…。





「蒼ぉおう!!

俺の恩人!神様ぁああ!!
ほんっと、いい所にポジショニングしてくれたなっ!!」



唖然とするラグビー部くんを突き飛ばすと、バスケ部くん―――窪田岳緒(くぼたたけお)くんは救世主の元へ駆け寄っていった。

救世主―――もとい、相模蒼(さがみそう)は、溜息まじりに岳緒くんにパンをわたす。



「…おまえは…パンくらいで毎日毎日大袈裟なんだよ」


「この恩は一生忘れないから、蒼!
今日の昼飯おごる…って、焼きそばパンはダメだけど…っ!」


「べつにいいって」


「遠慮するなってーぇ!
ほーんと蒼はクールなんだからなぁー!憎らしいくらいだぜぇ、って、あ」





あ。





「蓮さーん!こんちわー!」





…岳緒くんと、目合っちゃった…。

他人のふりして傍観…と決めこんでたんだけど…ああ元気に手を振られてはもう無理。



「うるさいのがきたぁー」



と小さな眉間に露骨にしわを寄せる明姫奈をよそに、岳緒くんが蒼の肩に腕を回しながらニコニコ笑顔で近づいてきた。