私はそっぽを向きながら続けた。
「…言っとくけど、今日だけなんだからね。
明日からは他の女の子にでも作ってもらいなさいよ。
あんたどうせモテるんだから、頼めばたくさん作ってきてくれるだろーし」
「まぁそうだけど…」
否定しないのか、そこっ。
「でもそういうのって、たいてい洋食とか菓子ばっかなんだよな。
しかもたいして美味くないし」
「うわひっどーい。
さいてー」
今の言葉、さっきの仲川さん含めて女の子たちに聞かせてやりたい。
そしたら、蒼に対するバカみたいな評判も、少しは減るだろうに!
と、ぐさっ、と最後の卵焼きをフォークに差して、頬張ろうとした、
その時だった。
ぱしっ
フォークを持つ手が、突然蒼につかまれた。



