かと思いきや、後ろから伸びてきた手がパンを弾いた。

高く高く飛び上がったパンをもぎ取ったのは、



「っしゃー!ナイスリバウンドっ!」



バスケ部の男の子だ。



「ってめぇー!バスケ部!いつもいつも卑怯やりやがって!!」


「卑怯じゃねぇよープレイスキルだよーん、っでぇ!!」



ラグビー部くん、タックル。



「よこせぇええ!」


「させるかぁ!」



バスケ部くんも全力死守。





「ああ…ほんと…」



私の隣で、親友の明姫奈(あきな)がかわいい顔に似合わない冷淡な独り言をつぶやいた。



「毎日毎日バカやって、あきないよねぇ…」



つられて私も苦笑する。





そうこうしているうちに、縦にも横にも圧迫感があるラグビー部くんに襲いかかられ、バスケ部くん絶体絶命のピンチ。



「くそぉお…!
なんとしてでも焼きそばパンを俺のものにぃ…っ!」



苦渋の声を漏らした、その時だった。





「おい、こっちにパス」





涼しげな声が、人ごみの中から聞こえてきた。