夜道はまた真っ暗だった。

蒼が隣にいない、暗い夜道。



慣れた道だし、まだ夕闇は辺りを暗く浸食していない。

なのに、どうしてこんなに怖いんだろう。





『好き』って気持ちはとても厄介だ。





『蒼が好き』



突然現れて、私の胸を支配したこの想いは、

とても熱くて重くて大きくて、扱いに困ってしまう。



恋を初めて知った私の前には、暗く未開の地が広がっているというのに、

こんな大きな荷物を抱えて、歩き出していかなきゃならないなんて。



でも手放すことなんてできやしなくて…。



こんな厄介なものを抱え込んで、私はこれからどこに行けばいいというんだろう…。



ねぇ誰か教えてよ。

私はどうしたら、前に進んでいけるの?




「蓮…!!」




聞きなれた声が聞こえて、はっとなった。



蒼だった。