「お疲れ蒼」



練習後、ロッカーで岳緒に呼び止められた。



「ああ、お疲れ…」


「なんか蒼、俺を避けてない?
昼間は普通だったのに、どしたの?」



解かってるだろ。んなこと。

わざとらしい言い方するなよ。



岳緒の顔にはうっすら笑みが浮かんでいる。

もうすべてを覚悟したような、不敵な顔だった。



ちっ。

わかったよ



「はっきり言えよ。岳緒
おまえ、どうしたいの?」



岳緒は笑顔を消すと、真剣な眼差しで俺を見すえた。





「俺、蓮さんに告る」





「……」


「いい加減俺も本気の恋がしたい。
蓮さんが好きって気づいて、マジでそう思った。

おまえも好きなんだろ、蓮さんのこと。
ずっと訊けずにいたけどさ、蓮さんとおまえって、どうなの?」





付き合ってる。

やっと手に入れた女。俺だけの女だ。

いくら岳緒でも、絶対にゆずれない。





そう言いたいけど、蓮との約束が、喉元で止めた…。