それでもなんとかご飯を作り終わった後は、気を紛らわすためにテレビを眺めていたんだけど…



流行りのイケメン俳優が色っぽい演技をしているCMが流れたりすると、



抱き締められたり、無理矢理キスされた夜のことを思い出してしまう…。



しかも、蒼はそこいらの芸能人よりもかっこいいから…、

なおさらドキドキ…。



今夜はどうか平穏に過ごさせて欲しい…。



もし…



もし…蒼があの時よりも大胆なことをしてきたら、どうしよう…。


もちろん、蒼とはもっと仲良くなりたいよ。



憧れるし…。



でも私、心の準備なんてできてないんだからね…っ。



蒼が大波みたいに怒涛に想いをぶつけてきて私を強引に攫ってくれたから、

あっぷあっぷしながらでも、どうにか私は自分の気持ちに気づけたの。



情けないけど、それで手いっぱい。



キスだって慣れないし、

それどころか、『好き』って気持ちを伝えることくらいで四苦八苦してるんだよ?



それ以上のことなんて…出来るわけないんだから。





でも。



蒼がもしオオカミになったらどうしよう…。



私、躾の仕方なんて見当もつかないんだけどなぁ…!?





ガチャ。





そこに、玄関が開く音が聞こえて、私はびくりと肩を揺らした。