「ね、もしかして学校でもカレカノでいなきゃだめ…?」


「あたりまえだろ。
なにか不都合でもあるのか?」


「あ、ありまくりだよ…!」


「はぁ?」



蒼は信じられないことを聞いたとばかりに、形のいい眉をしかめさせた。



「だって、蒼は女の子にめちゃくちゃ人気あるんだよ?
知らないの?校内一って言われてるんだよ??
その蒼のカノジョに私がなったなんて知られたら…」


「ああ、よくある嫉妬ってやつ?
くっだらね。
そんなの最初の内だけだって。

…てか、俺だって同じ立場なんだけ」


「え、なに?」


「独り言だ。
…とにかく気にするな。
もしつまんねーことされたら、大勢いる前で堂々と言ってやるよ。
『俺は蓮しか見てねぇ。くだらねぇ嫉妬するやつは邪魔だ』ってな」



「そ、そんなのダメっ」



あまりのこそばゆい発言に、私は思わず声を上げた。



「だ、だって…そんなことしたら、なおさら冷やかされるじゃない…。
今までただの幼なじみって言ってたのに…やっぱりそういう関係だったんじゃない、って」


「え、だから?
別にいいだろ。ホントのことだし」


「でも…なんか…」



私は顔を真っ赤にさせながら、蒼の制服のネクタイをいたずらに引っ張った。


「なんか?」


「なんか…

は、恥ずかしいんだもん…」


「……」



呆気にとられたように黙ると、蒼は大袈裟なくらい大きく溜息をついた。



「っとおまえって、ガキ」


「な…っ!!」


「ムカつくからクソつけてやる。
クソガキ」


「ク、クソガキ…!?」